住みたい街として高い人気を誇る阪神間(大阪―神戸間)エリア。
この区間を結ぶ鉄道路線は、北から順に「阪急神戸線」「JR東海道本線」「阪神本線」の3路線があります。
それでは、この中で最も住みやすいのはどの沿線でしょうか?
治安・家賃相場・買い物の利便性など、さまざまな観点から徹底比較しました!
3路線をテーマごとに比較
治安が良いのは阪急沿線!
街選びにおいて、やはり治安は気になりますよね。
大阪―神戸間は、山側(北側)ほど高級住宅街の色合いが強く、海側に南下するにつれて下町っぽい雰囲気になっていきます。
従って、最も山側に位置する阪急沿線は富裕層が多く、上品な街並みで治安が良い傾向にあります。
しかし、海側でも特に事件が多いわけではなく、武庫川より西側(西宮市・芦屋市・神戸市東灘区・灘区)なら、阪神沿線でも治安は悪くありません。
大阪~神戸間で治安が心配なのは尼崎市内の阪神沿線くらいで、それ以外のエリアならどこでも治安は気にする必要はないでしょう。
交通の便が良いのはJR沿線!
JR線は大阪―神戸間をほぼ直線で結んでいるのに対し、阪急線や阪神線はやや迂回しながら結んでいるため、所要時間はJR線が最も短くなっています。
JR再速達の新快速は大阪駅―三ノ宮駅をたったの21分で結んでいるので、新快速が停車する尼崎駅や芦屋駅はかなり便利です。新快速の下位種別にあたる快速でも、大阪駅―三ノ宮駅を27分で結んでいます。
次いで速いのが阪急線で、大阪梅田駅―神戸三宮駅の所要時間は27分と、JR線の快速と同じくらい。
最も遅い阪神線は、特急でも途中の停車駅が多いため、大阪梅田駅―神戸三宮駅の所要時間は31分かかりますが、阪神なんば線に直通する電車も運行されているので、難波や上本町など、大阪ミナミのエリアにも乗り換えなしでアクセスできる利点があります。
ということで、所要時間はJR>阪急>阪神となりますが、一方で運賃は阪急や阪神の方が安く、ともに梅田―三宮間の運賃は320円で、JRより100円ほどお得です。
なお、阪急や阪神の特急は特別料金なしで乗車できるので、安心してください。
梅田―三宮間の所要時間と運賃
路線 | 所要時間 | 運賃 |
JR(新快速) | 21分 | 410円 |
JR(快速) | 27分 | 410円 |
阪急(特急) | 27分 | 320円 |
阪神(直通特急) | 31分 | 320円 |
家賃相場はどの沿線も大差ない!
高級住宅街が連なる阪急沿線は、家賃が高いイメージを持たれがちですが、実はそんなに高くありませんよ。
阪急沿線は大きな邸宅が多いから高級住宅街と呼ばれるのであって、一般庶民が住むような1Kや1LDKくらいのマンションやアパートの家賃相場は、阪急沿線もJR沿線も阪神沿線も大差ありません。
家賃相場は時期によって変動しますが、基本的にはどの沿線でも、一人暮らし向け物件なら平均で4~5万円台となっているようです。
なので、予算にあまり余裕がなくても、背伸びして高級住宅街のエリアに住むことも割と容易にできちゃいます。
しかし、高級住宅街はスーパーなどの物価が高い傾向にあるので(詳細は次項)、やはり節約したい方は下町っぽい街を選ぶのが賢明でしょう。
物価が安いのは阪神沿線!
下町の色合いが強い海側に位置する阪神沿線は、買い物環境も「業務スーパー」など、激安スーパーが多くて物価が安いので、節約したい方におすすめです。
一方で高級住宅街が連なる阪急沿線は、「いかり」や「阪急オアシス」など、高級路線のスーパーが多く、物価が高い傾向にあります。
また、3つの沿線に共通して、大阪―神戸間で幅を利かせているのが「コープ(生協のスーパー)」です。
利用するには生協組合員に入る必要があり、物価はやや高めですが、駅から最寄りのスーパーがコープという街も少なくないので、生協組合員に入っておいた方が得でしょう。
関西のスーパーの物価については以下の記事でまとめていますので、参考にしていただければ幸いです。
3路線を街ごとに比較
①JR尼崎vs阪急塚口vs阪神尼崎
まずは阪神間エリアで最も大阪寄りに位置する「尼崎市」の主要3駅を比較していきましょう。
尼崎市といえば、下町で治安が悪いイメージを持っている方も多いと思いますが、実際に治安が心配なのは阪神沿線くらいですよ。
阪神尼崎駅周辺が古くからの中心市街地であり、タイガースの応援でおなじみの「尼崎中央商店街」があるのもこの辺りです。激安スーパーが豊富なので、節約したい方には嬉しい環境ですが、飲み屋や風俗店なども多く治安はあまり良くないので、女性の方や子育て中の方には気になるところでしょう。
一方で、近年の勢いが凄いのがJR尼崎駅周辺。かつては周りに工場しかないようなエリアでしたが、90年代以降の再開発により、高層マンションや大型商業施設が建ち並ぶ都会的な街へと発展しました。新快速や特急も停車するし、駅前には「あまがさきキューズモール」をはじめ複数の商業施設があり、かなり便利な環境です。ここ数年では住みたい街としても度々名前が挙がるようになり、ファミリー層にも人気が高く、従来の尼崎市のイメージが覆りつつあります。
阪急塚口駅はJRや阪神と比較すると小規模な街ですが、駅前には昔ながらの商業施設「塚口さんさんタウン」があり、さらに駅から北方へ15分ほど歩けば大型ショッピングモール「つかしん」もあるので、買い物に便利です。周辺は閑静な住宅街が広がっていて、住むのにちょうど良いエリアですよ。また、1駅隣の武庫之荘駅も尼崎市の中では治安が良いエリアで、利便性もそこそこ高いのでおすすめです。
JR尼崎 | 阪急塚口 | 阪神尼崎 | |
治安の良さ | |||
交通アクセスの良さ | |||
買い物の利便性 | |||
飲食店の充実度 | |||
住みやすさ総合 |
②JR西宮vs阪急西宮北口vs阪神西宮
続いては、住みたい自治体ランキング関西版で1位を獲得している「西宮市」の主要3駅を比較していきましょう。
最も賑わっているのは阪急西宮北口駅で、駅直結のショッピングモール「阪急西宮ガーデンズ」があり、買い物が楽しめます。駅前から離れると閑静な住宅街が広がり、上品な雰囲気で治安も良い街です。それでありながら、安めのスーパーもあるので嬉しいです。特急が停車する主要駅なので、大阪にも神戸にも楽々アクセスできますよ。利便性と環境の良さを兼ね備えているため、住みたい街ランキング関西版では4年連続で1位を獲得しています。
阪神西宮駅は西宮市役所の最寄駅で、近くに「えべっさん」の愛称で親しまれている西宮えびす神社があります。駅前は繁華街になっていて、24時間営業のスーパーがあるので便利です。飲食店がかなり充実しているので、特に外食派の方には嬉しい環境ですよ。特急停車駅なので、交通アクセスも良好です。
JR西宮駅は3駅の中では賑わいが控えめで地味な街ですが、商業施設や飲食店は揃っているので、利便性は決して悪くありません。新快速は通過しますが、快速が停車するので、梅田や三宮までの所要時間は阪神より短く、阪急と同じくらいです。
JR西宮 | 阪急西宮北口 | 阪神西宮 | |
治安の良さ | |||
交通アクセスの良さ | |||
買い物の利便性 | |||
飲食店の充実度 | |||
住みやすさ総合 |
③JR芦屋vs阪急芦屋川vs阪神芦屋
続いては、日本屈指の高級住宅街として名を馳せる「芦屋市」の3駅を比較していきましょう。
中心市街地は新快速も停車するJR芦屋駅周辺で、駅前には大丸百貨店などが入った複合商業施設「モンテメール」があり、買い物に便利です。ただ、やはり高級住宅街なので、周辺のスーパーは「いかり」「成城石井」など、高級スーパーばかりで物価は高くなっています。
芦屋市は全体的に高級住宅街の色合いが強いですが、3駅の中でも特に高級感があるのはやはり阪急芦屋川駅周辺で、駅北側の山手地域には豪邸が建ち並んでいます。しかし、商業施設に乏しく、買い物はJR芦屋駅周辺まで出向く必要があります。芦屋川駅はほぼ普通電車しか停まらないのもデメリットで、利便性は3駅の中で最も劣ります。
阪神芦屋駅周辺も基本的には高級住宅街ですが、物価が安めのスーパーもあり、3駅の中では比較的庶民にも住みやすい街といえるでしょう。交通の便はJR芦屋駅には劣りますが、特急も停車するので十分便利ですよ。
JR芦屋 | 阪急芦屋川 | 阪神芦屋 | |
治安の良さ | |||
交通アクセスの良さ | |||
買い物の利便性 | |||
飲食店の充実度 | |||
住みやすさ総合 |
④JR住吉vs阪急御影vs阪神御影
続いては、「神戸市東灘区」の3駅を比較していきましょう。
区役所最寄りのJR住吉駅は新快速は通過しますが、快速が停車します。駅北側と南側にそれぞれ商業施設があり、買い物には困りません。駅前から離れると閑静な住宅街が広がり、とても環境の良い街です。
阪急御影駅周辺はおしゃれなカフェや美術館が点在する高級住宅街で、住みたい街としてもよく名前が挙がる人気の街ですが、基本的に普通電車しか停まらいので、交通の便はイマイチ。スーパーはライフがありますが、大型商業施設はなく、利便性は3駅の中で最も劣ります。
穴場といえるのが阪神御影駅で、3駅の中では最も下町っぽい雰囲気でブランド力は劣りますが、駅前に大型商業施設「御影クラッセ」があり、飲食店も充実していて便利な環境です。特急も停車し、神戸三宮へは1駅でアクセスできますよ。
JR住吉 | 阪急御影 | 阪神御影 | |
治安の良さ | |||
交通アクセスの良さ | |||
買い物の利便性 | |||
飲食店の充実度 | |||
住みやすさ総合 |
⑤JR六甲道vs阪急六甲vs阪神新在家
最後に「神戸市灘区」の3駅を比較していきましょう。
中心市街地はJR六甲道駅周辺。高層マンションが建ち並ぶ都会的な街並みで、商業施設や飲食店も充実しています。スーパーは駅から徒歩10分圏内に11軒もあり、普段の買い物に便利です。新快速は通過しますが、快速が停車し、三ノ宮へは1駅でアクセスできます。
阪急六甲駅は神戸大学の最寄駅で、多くの学生で賑わっています。駅周辺は閑静な住宅街で環境が良いですが、スーパーは「阪急オアシス」に「いかり」と高級志向で物価が高め。日中は普通電車しか停まりませんが、深夜と早朝に運転されている快速急行が停車します。
阪神新在家駅は普通電車のみ停車する小さな駅ですが、「業務スーパー」や「ラ・ムー」など激安スーパーが多く、節約してい方には嬉しい環境です。駅南側にはショッピングモール「サザンモール六甲」があり、買い物が楽しめす。
JR六甲道 | 阪急六甲 | 阪神新在家 | |
治安の良さ | |||
交通アクセスの良さ | |||
買い物の利便性 | |||
飲食店の充実度 | |||
住みやすさ総合 |
まとめ
3路線の比較、いかがでしたか?
基本的には阪急沿線は高級住宅街の色合いが強く、阪神沿線は下町っぽい雰囲気、JR沿線はその中間くらいのイメージですが、同じ沿線でも街によって違いがあるので、治安・交通アクセス・買い物の利便性・飲食店の充実度などを比較し、あなたに合った街を選ぶのがおすすめです。